「ゲーム音楽史 スーパーマリオとドラクエを始点とするゲーム・ミュージックの歴史」
(著:岩崎祐之助)
を買いました。
以下感想です。
↓
ゲームBGMがどうやって発展してきたかを、豊富な実例を元に解説した力作です。
単純に人気のある曲を並べるのではなく、
ゲームBGMを進化させた「提案」の数々に注目してまとめているのがポイント。
各ハードが持つサウンドエンジンの仕様にまで踏み込んで、
特徴的な音色に隠された意味を懇切丁寧に説明しています。
著者はゲーム開発者なので、
普通の音楽ファンではとても書けない深いところまで説明が加えられています。
また各楽曲について、必ず作曲者が紹介されています!
作曲者の略歴や、そのサウンドの特徴、
楽曲中に用いられたテクニックまで解説がなされている贅沢っぷり。
この本を読み終わった後も、
作曲者名で沢山の楽曲にアクセスしていくことができそうです。
読んでいて強く感じたのは、
ゲーム音楽というジャンルは、厳しい厳しいハード制約があったからこそ
閃きと創意工夫にあふれた作品が数多く生まれたのだろうということです。
普通では考え付かない表現が盛りだくさん。
*
この本を、実際の音源を聴きながら読みたかったので(切実に)
本書の楽曲リストから、Youtube・ニコニコ動画の試聴音源集をつくりました。
個人用ですが、
同じこと考える人がいるかと思い、こそっとのせておきます。
問題ありそうならリストは非表示にします。
本文中の詳細な解説を読みながら聴くと、昔に戻ったようでとてもわくわくしますね。
ドラクエ3のBGMを子守唄にうとうとしていたころを思い出します。
本書、とてもオススメ。
***
楽曲へのリンク集です。
■第一章 ファミリーコンピュータ世代
01. スーパーマリオブラザーズ - 地上BGM
02. ドラゴンクエスト - 序曲
03. マッピー - メインテーマ
04. グラディウス - Challenger 1985
05. ゼルダの伝説 - タイトルBGM
06. ドラキュラⅡ 呪いの封印 - Bloody Tears
07. ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 - タイトルBGM
08. R-TYPEⅠ - BATTLE THEME
09. グラディウス2 - KILLER COAST LAND
10. ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ… - ダンジョン
11. ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ… - おおぞらをとぶ
12. ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ… - 勇者の挑戦
13. ロックマン2 Dr.ワイリーの謎 - AIRMAN STAGE
14. ロックマン2 Dr.ワイリーの謎 - BUBBLEMAN STAGE
15. ウィザードリィ 狂王の試練場 - 戦闘
16. 桃太郎伝説 - 天の声
20. 信長の野望 武将風雲録 - 天魔鬼神 下の巻
■第二章 スーパーファミコン世代
33. アクトレイザー - フィルモア
35. 超魔界村 - Level2
40. 聖剣伝説2 - 危機
45. 忍者ハットリくん - メイン
■第三章 プレイステーション世代
62. ダライアス外伝 - SELF
71. 幻想水滸伝 - 幻想の世界へ
■第四章 プレイステーション2以降の世代
82. 真・女神転生 - 戦闘
83. 真・女神転生Ⅱ - 中ボス戦闘
90. 虫姫さま - 森のずっと奥の方
95. 洞窟物語 - 洞窟物語(大農園)
*
この本、リットーミュージックの刊行なのですね。
そんなわけもあってか、普通のファンブックとは少し違う、
音楽の専門的なところにも踏み込める内容になっています。
リストだけ見るとその選曲意図はわかりにくいですが、
本文の論説にしたがって聴いていくと
ゲーム音楽の進化が見事に追体験できるようになっています。
*
以下、オマケです。
■1
まずはじめに心配になったのは、
この本の内容で一点指摘されるとすれば、
「ゲーム音楽史 というタイトルはデカすぎて無茶では?」というところでした。
確かに無茶です。
ゲーム音楽史を謳ってしまうと、
「ゲーム音楽史なのに○○に関する記述が不足している / 多すぎる」という形の指摘が
それこそ無数にできてしまうからです。
とても面白い内容な分、この一点の批判で苦労しそうですね…。
でもそこはご愛嬌。
実際には、著者が気付き感じたゲーム音楽の魅力を一冊にまとめた
「僕たちのゲーム音楽史」 というべき内容です。
さやわかさんの、「僕たちのゲーム史」に引き続くような。
私的であるからこそ、
今まで語られなかった物へスポットライトを当てる独自の視点があります。
本文中で、「洞窟物語」のソフト音源である「オルガーニャ」にまで言及しているのは
素晴らしいと思いました。
オルガーニャ音源て、どの音もアタックが強くて素敵な響きなのですよね。
■2
前書きによると、この本の目的は
「なるべく多くの人にゲーム音楽を身近に感じてもらう」 ことだそうです。
なので165ページとコンパクトにまとまっており、
ゲーム音楽の入り口のドアを開ける大変貴重な試みです。
そこを、タイトル周りのツッコミで
まさかの味方から閉めてしまうとすると、機会の損失になるかもしれません。
本文中で不足する事項に関しては、
ゲーム音楽ファンが本文の内容を補完したり、次に読むべき参考文献を紹介したり
作者の意図をバックアップしていくプラスの試みができるかと思います。
この本でいらっしゃいませして、
扉の外じゃなく、中に入ってもらってからサービスしたい。
そういうきっかけになればいいなと思いました。
■3
ただ、そうシンプルにいかない状況のようです。
本文の内容に関して、こちらのブログ記事にて詳述されています。
■[book]【書評】ゲーム音楽史/岩崎祐之助
http://d.hatena.ne.jp/hally/20140727
本書の内容には事実誤認が多い、という旨が説明されています。
記述は(足りなくても良いが)正確であるべき、と強く思います。
発売後早い段階での指摘に感謝し、買った方はこちらでフォローしましょう。
これを読んで、
門戸を開きたい気持ちはあるけれど、
本書でドアを開けるのは時期尚早ではないか、という思いがあると認識しました。
次の一手が待たれる、というところなのですね。
*
どうやってゲーム音楽入門書を書くべきか?
と言うのは非常に興味深い問題です。
次の記事で、少し考えてみました。
■ゲーム音楽史と、『複雑系』(M.ワールドロップ)について
http://kaho-ss.blogspot.jp/2014/07/m.html
この本、リットーミュージックの刊行なのですね。
そんなわけもあってか、普通のファンブックとは少し違う、
音楽の専門的なところにも踏み込める内容になっています。
リストだけ見るとその選曲意図はわかりにくいですが、
本文の論説にしたがって聴いていくと
ゲーム音楽の進化が見事に追体験できるようになっています。
*
以下、オマケです。
■1
まずはじめに心配になったのは、
この本の内容で一点指摘されるとすれば、
「ゲーム音楽史 というタイトルはデカすぎて無茶では?」というところでした。
確かに無茶です。
ゲーム音楽史を謳ってしまうと、
「ゲーム音楽史なのに○○に関する記述が不足している / 多すぎる」という形の指摘が
それこそ無数にできてしまうからです。
とても面白い内容な分、この一点の批判で苦労しそうですね…。
でもそこはご愛嬌。
実際には、著者が気付き感じたゲーム音楽の魅力を一冊にまとめた
「僕たちのゲーム音楽史」 というべき内容です。
さやわかさんの、「僕たちのゲーム史」に引き続くような。
私的であるからこそ、
今まで語られなかった物へスポットライトを当てる独自の視点があります。
本文中で、「洞窟物語」のソフト音源である「オルガーニャ」にまで言及しているのは
素晴らしいと思いました。
オルガーニャ音源て、どの音もアタックが強くて素敵な響きなのですよね。
■2
前書きによると、この本の目的は
「なるべく多くの人にゲーム音楽を身近に感じてもらう」 ことだそうです。
なので165ページとコンパクトにまとまっており、
ゲーム音楽の入り口のドアを開ける大変貴重な試みです。
そこを、タイトル周りのツッコミで
まさかの味方から閉めてしまうとすると、機会の損失になるかもしれません。
本文中で不足する事項に関しては、
ゲーム音楽ファンが本文の内容を補完したり、次に読むべき参考文献を紹介したり
作者の意図をバックアップしていくプラスの試みができるかと思います。
この本でいらっしゃいませして、
扉の外じゃなく、中に入ってもらってからサービスしたい。
そういうきっかけになればいいなと思いました。
■3
ただ、そうシンプルにいかない状況のようです。
本文の内容に関して、こちらのブログ記事にて詳述されています。
■[book]【書評】ゲーム音楽史/岩崎祐之助
http://d.hatena.ne.jp/hally/20140727
本書の内容には事実誤認が多い、という旨が説明されています。
記述は(足りなくても良いが)正確であるべき、と強く思います。
発売後早い段階での指摘に感謝し、買った方はこちらでフォローしましょう。
これを読んで、
門戸を開きたい気持ちはあるけれど、
本書でドアを開けるのは時期尚早ではないか、という思いがあると認識しました。
次の一手が待たれる、というところなのですね。
*
どうやってゲーム音楽入門書を書くべきか?
と言うのは非常に興味深い問題です。
次の記事で、少し考えてみました。
■ゲーム音楽史と、『複雑系』(M.ワールドロップ)について
http://kaho-ss.blogspot.jp/2014/07/m.html
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