2013/10/21

音楽の中の、かくれたロマンチシズム

三軒茶屋クロスロードスタジオ ブログ - "ハナエ"
http://crst.at.webry.info/201310/article_1.html

こちらの記事を読んで。







真部脩一さんの何処に惹かれるか、自分でも明文化できないところがありましたが、
「抑制の中のロマンチシズム」が好きなのだと実感しました。

僕が好きになるものは、昔から似ているようです。
ジャンルはバラバラですが、
筒井康隆モーリス・ラヴェル、黒田硫黄パウル・クレー笹井宏之
そして真部脩一も、同じ属性を持つようです。

彼らは、主に「方法」の作家です。
誰が見てもその人だとわかる独自の記法やルールを備えている。
作品中の技巧や遊びで、相手を楽しませるのが持ち味です。

エンターテイナーであるがゆえ、
彼らは、めったに素を見せません。感情をそのままの形で表さない。

しかし、彼らの根底には溢れんばかりのロマンチシズムが流れていて、
作品のなかのあるところで、それがきらめくときがあります。

「素直じゃない叙情」とか、そういったイメージ。
僕はそこに惹かれます。

昔の記事で、同じことを書いていました。
"笹井宏之さんの歌集「えーえんとくちから」"
http://kaho-ss.blogspot.jp/2013/01/blog-post.html





冒頭の記事より少し引用しまして


 >女性ボーカルでバンド編成でウィスパーな言葉遊びでチョット謎で.....
 >等は偶々の産物であり、彼がもしパクられたとして悔しがるであろうポイントは
 >他にあると思うのです。(中略)

 >なので彼が自身と全く違った方法論で上質にロマンチシズムを
 >音楽的に誰かが表現した時凹むでしょう。これも多分。


真部脩一の場合は、特に作詞にロマンチシズムを感じます。

では、真部脩一と違った方法で、
特に「作曲」で、この「抑制されたロマンチシズム」を表現できるでしょうか。

これを実現できているのは、僕の好みで言うと、モーリス・ラヴェルかなと思います。
そして、現代だと Lamp を挙げたいです。
本当に、自分の好みだけの話です。





ラヴェルのバレエ組曲「マ・メール・ロワ」より、「美女と野獣の対話」。
・クラリネット:美女
・ファゴット(バスーン):野獣
と役割を当てはめた、小さなラブストーリーになっています。

0:00- A 美女の歌。 優しい声。
1:08- B 野獣の歌。 半音階の野太い声。
2:08- A+B 美女と野獣の対話
    高音と低音のデュエットです。たどたどしくも楽しそうな掛け合い。
2:56- ハープの魔法
3:25- B' 野獣が人間(=弦楽器)に変化!
    Bの半音階フレーズが弦で再演奏される。

ラヴェルは言葉ではなく、
あくまでも形式によって、形式を最大限に発揮することで、
ロマンチシズムを表現することができました。





またラヴェルは、第一次大戦で亡くなった友人6人のために
「クープランの墓」という6曲の追悼組曲を書きました。
その中の一曲、メヌエットです。

彼は、感傷的な表現を避け、あえて古風で端正な形式(=メヌエット)で曲を書きました。


湿っぽさのない、きれいな音楽です。
淡々として美しく、抑制されながらも音楽は高ぶっていきます。

彼にとっては、悲しさを「悲しい曲調」で表現するのは耐えられなかった。
淡々と形式的だからこそ、彼の感傷や悲しみの深さが伝わってくるような思いがします。

素直じゃないところが、とても好きです。





Lampの「心の窓辺に赤い花を飾って」
永井祐介さんの作曲です。

複雑な和音進行や、半音階的なメロディーラインを駆使した、技巧的な曲です。

淡々と抑制された曲調のなか、刻々と場面が移り変わっていきます。
中間部に挿入された突然の雨音や
3:10の頂点に向けて、狂気的なまでに高まる編曲。

「抑えきれない感情」が、「音楽の均整を破る」というかたちで表れています。
こういう形で感情を描く方法もあるのだと驚きました。



***


あらためて自分はこういうの好きだな、と思います。
一言で表せる言葉があると良いのですが。
「ツンデレな作風」とでもいうのか。

3 件のコメント:

  1. タルトタタンのアルバムも発売されましたが、
    真部さんと西浦さんの手法の違いなどを
    考察される予定はありますか?
    あったら嬉しいです!

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  2. こんにちは。marorororoさん。
    お察しの通り、タルトタタンシングルもアルバムも楽しく聴いてます。

    西浦さんは作曲されないので、作詞やリズムの比較になると思うのですが、
    僕にはなかなか難しいかもです…。ごめんなさい。
    西浦さんの作詞は、「ちょいネガティブ少女」の描き方が独特で好きです。

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  3. アルバムの他の方の作曲だと、
    坂部さんのtokyo eyes はペンタトニックの真部風メロディー
    田渕さんのcloseは、ペンタトニックのギターパートや、サビがF Em Am C の真部風コード
    というあたり、前作を継承しているところもあるかな、と思いました。

    真部さんと、進行方向・田中さんの作曲の比較はできそうですが、とてもとてもマニアックになりそうです。

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