2018/04/02

ハイ・ラマズ (The High Llamas) のリピートする世界

イギリスのバンド、ハイ・ラマズの「リピート芸」を聴いてみましょう。
甘々でミニマルな世界です。全部で8曲紹介します。

聴いていると、わけわからない感じになってくるので、
まずはBGMとして、流しっぱなしにしてみてください。
普通のポップスにあまりない風味がします。


■1. The High Llamas - Calloway

まずはリピートの雰囲気がわかりやすいこちらの曲。
(4拍+3拍+4拍+3拍)のモチーフが繰り返されます。

以下、何秒間くらい繰り返されているか書いてみますので、
お暇な方は追ってみて下さい。

リピート区間:
① 0:00 - 0:33   [ 0'33" ]
② 1:00 - 1:32   [ 0'32" ]
③ 2:09 - 2:41   [ 0'32" ]
④ 3:18 - 4:40   [ 1'22" ]
序盤・中盤に、30秒ずつのリピートが3回あり、
終盤に長めのリピートが始まります。

この、いつの間にかリピートしている感じが良いんですよね。
パターン入った! って心地がします。

ハイラマズのリピートは、
おおむね1-2小節の小さな単位が延々と繰り返されるのですが
完全に同じ演奏が続くだけではなく、
楽器が増えたりアドリブが入ったり、徐々に色味が変化するのも魅力です。

以下続きます。下に行くほどリピートが長くなります。



■2. The High Llamas - Winter's Day

3種類のモチーフがそれぞれリピートする曲です。
ふだん何聴いてたらこういう作曲になるんでしょうね……。謎の魅力です。

リピート区間:
A(男声リピート)
① 0:10 - 0:25    [ 0'15" ]
② 0:46 - 1:20    [ 0'34" ]
③ 2:13 - 2:47    [ 0'34" ]

B(女声リピート)
① 1:21 - 1:49    [ 0'28" ]
② 2:48 - 3:44    [ 0'56" ]

C(コーラス)
① 0:25 - 0:38    [ 0'13" ]
② 1:52 - 2:05    [ 0'13" ]
③ 3:46 - 4:49    [ 1'03" ]

どの曲も基本的なスタイルは一緒で、
序盤にモチーフを短く予告しておき、
終盤で1分~それ以上の長いリピートを持ってきて盛り上げるという構成です。



■3. The High Llamas - Homespin Rerun

リピート区間:
① 0:31 - 0:39    [ 0'08" ]
② 1:11 - 1:23    [ 0'12" ]
③ 3:15 - 5:22    [ 2'07" ]
序盤で、10秒ほどの小さい予告があり、ラストに2分間のリピートがあります。
このリピートの入り方が唐突で、なぜそこをリピートしたの?とびっくりします。
リピートしながら、リズムパターンだけ移り変わっていく不思議な作り。

2分のリピートって、字面だと長いように思えるのですが、
実際にはアレンジの変化があるので、自然と聴けてしまいます。


■4. The High Llamas - The Hot Revivaling

初期の名盤「Hawaii」の8曲目。
リピート区間:
0:38 - 0:46    [ 0'08" ]
2:06 - 4:40    [ 2'34" ]
2分30秒のたっぷりリピートが堪能できます。
とにかくテンポゆっくりで甘々で特濃な空間です。


■5. The High Llamas - Doo-wop Property

こちらも「Hawaii」の12曲め。
リピート区間:
2:34 - 4:56    [ 2'22" ]
注意深く聴いてみると、
テンポが変わっているだけでさっきのThe Hot Revivalingと同じフレーズ!
さっきも2分以上聴いたんですが……。


■6. The High Llamas - Janet Jangle

この曲は最初から最後まで一つのモチーフだけで出来ています。
(4拍+2拍+4拍+2拍)がワンセットですね。
リピート区間:全部  [3'49"]

4分近く続きますが、転調が細かく入ったり、ベースが変わったりするので
飽きずに聴けますね。


■7. The High Llamas - Bobby's Court

アルバム「Buzzle Bee」の8曲めです。
リピート区間:
2:01 - 5:59    [ 3'58" ]
4分近くリピートします。4分というと普通のポップス1曲分まるまるですね。
ただ、僕はこの曲のリピートがとても好きで、
4分といわず、ずっと聴いていたい気持ちになります。

このリピート、一聴すると予告なしで始まるようですが、
同じアルバムの別の曲(2曲め「Pat Mingus」3:48-)に予告があります。
凄い作り方しますね。

ハイラマズの音楽は、単曲で紹介すると良さがわかりにくいんですが、
アルバム単位で聴くとその破天荒な構想に圧倒されます。
1時間近く謎ワールドなので、ハマると楽しいです。


■8. The High Llamas - Track Goes By

最後にこちらです。
High Llamasの初期作「Gideon Gaye」にすごい曲が入ってます。

1:20 - 1:25    [ 0'05" ]
2:06 - 2:11    [ 0'05" ]
2:28 - 2:38    [ 0'10" ]
3:16 - 3:21    [ 0'05" ]
3:37 - 14:13  [ 10'36" ]

途中から急におかしくなって、同じフレーズを10分間リピートします。
上記のyoutube音源だと全曲入りきってないですね。

曲の長さも恐るべきですが、
リピート単位がたった1小節(4拍)で出来ているので、
そのしつこさたるや。
全部聴けるか、試しにチャレンジしてみてください。
途中でフルートソロがあるので、不思議と聴けちゃいます。



こんな感じで、ハイラマズのアルバムにはリピートがたくさん出てきます。

ハイラマズのリピートを堪能したいかたは、
アルバム「Hawaii」をお勧めします。
80分近く甘々なフレーズが繰り返され、どの曲もだいたい同じ雰囲気なので
自分がいまどこを聴いているのかわからなくなります。
(ずっと聴いていると、不思議と曲の区別ができるようになってくるのですが)

霞の中からぽっと曲が出てきては消え出て来ては消え
みたいな感じの変てこアルバムです。
騙されたと思って買ってみてください。

「なげーしずっと繰り返しだしわけわからんし騙された!」
と思うはずですが、
試しにBGMとして流しっぱなしにするうちに
座右のアルバムになるかもしれません。
数人にお勧め。


■過去記事です。
大好き! ハイ・ラマズ(The High Llamas)
https://kaho-ss.blogspot.jp/2016/03/high-llamas.html

The High Llamasの音楽
https://kaho-ss.blogspot.jp/2012/03/high-llamas.html

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