2016/07/18

バンダイナムコ、MONACAの新曲聴きました

トリ音さんの新曲があまりにも好みだったので、連日更新してみます。

『空と風と恋のワルツ』 『だから今夜きみと』 『8月のマリーナ』の3曲を聴きます。


■小日向美穂(cv津田美波) - 空と風と恋のワルツ

バンダイナムコ・トリ音さんの作曲。
惚れ惚れする良い曲……。こんないい曲あるかな。

トリ音さんの作曲は、先の記事のフランス近代音楽にも近い感触がありますね。
個人名義のアルバムでも、
ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』をカバーされておられます。

これだけ転回形を多用しても固くなりすぎず、めちゃポップです。
以下、少し中身もみてみます。


イントロでは、第一転回形の平行移動が使われています。きれい。
0:06-
IV/VI     IIIm/V      IIm/IV      I/III

IVm       bIII△7   bII△7    IV/V    V7



イントロ - サビまでの調を聴き取ってみると、
下記のような感じでしょうか。(長調として)

0:00      0:11      0:15       0:20      0:35
  E         A         E           D          C
       +3       -3          -2        -2         +5


0:40      0:56       1:11       1:19      1:22
  F         Ab         Eb         F          Eb
       +3         -5          +2         -2

およそ7つの調で編まれているようです。
転調は長二度(±2)、短三度(±3)、完全4度(±5)を織り交ぜて。

こんなに細かく転調しているのに、あまりにも自然に移り変わっていきますね。
サビの一瞬の長二度転調 Eb - F - Eb が感動的です。

サビ直前1:08-では、内声の美しい半音上行クリシェに合わせて、
ヘミオラ」というワルツの技法(リズム)が使われています!
ポップスでこんな風に使えるなんて……心底素晴らしいです。

ゲーム音楽でヘミオラって、なんでもありのデレマスらしくてステキです。
ストリングスアレンジも手が込んでいて、最高傑作だと思います。

この曲はトリ音さんのソロアルバムの曲調に近いので、
気に入った方はアルバム聴いてみるのもオススメです。





■沼倉愛美・原由実・浅倉杏美 - だから今夜きみと

バンダイナムコ・Taku Inoue (井上拓)さんの新曲。
こんなにリズムトラックが細かく刻んでいるのになぜか静寂を感じます。
99 Nightsにつづいて、不思議な魅力。

サビでドラムパターンの手数が少なくなる、という逆転のアレンジです。
タイトルの雰囲気にピッタリで美しいですね。

サビ最後(1:37-)のコードはbVII7(9,#11)   (またはIaug/bVIIなど) でしょうか。
99 Nightsのサビ直前にも同じコードがありますね。
井上さんとかYoshiさんの曲で聞くイメージです。お洒落でめちゃ格好良い。

この曲も含め
井上さんの新曲が一挙に3曲もリリースされるらしく、楽しみだらけです。
 ・だから今夜きみと
 ・Miracle Night
 ・みんなのうた

夜型ですね。
Miracle Nightには、
カップリングにuRy(みすみゆり)さん+高田龍一さんの新曲『SMOKY FRUITS』が。
楽しみ。

バンダイナムコな新曲が今後も続くといいですね…。
増渕裕二さんとかjesahmさんとかないかな。





■かな from AIKATSU☆STARS! - 8月のマリーナ
作曲:石濱翔さん、編曲:田中秀和さんというめちゃ面白い一曲。
ほんとにどちらの作品にも聴こえます。

サビ前のコードはこんな感じでしょうか。
0:54-
    テーブル    パラ ソル    スト   ライ            プ
IIm7               V     V7     IIIm7  VI7(b9,b13)  VI


この夏の  かき氷  どんな味がラインナップ?        熱いヘブン        
IIm7      I / III           IVm7             bVII        Vaug     I

                 (短3度上でIIm7               V           IIIaug )


一瞬、短3度上に行ってから(IVm7 bVII)
すぐにVaugで短3度下に戻っています。

神前暁さんっぽいサビ前短3度下転調に、
石濱・田中コンビのaugコードが織り込まれている形ですね。
MONACAの集大成という感じでめちゃステキ。



この曲、石濱さんか田中さんのどちらの作曲か聴き分けてみると、

・コード:
 augの多さは田中さん風。
  サビ折り返し1:24に I /III を使うのは石濱さん風

・メロディー:
 メロディーに1つも変化記号がつかない(♯、♭がつかない)のは石濱さん風。
 ハモリパートには変化記号がついていて、田中さん風。


メロディーが全てFメジャースケールに収まっているのが特徴的です。
テンションコード・augコード・短三度転調の変化の中、みごとに波乗りしています。
石濱さんは、シンプルなメロディーへのこだわりが強いですよね。

田中さんは変化記号で半音の動きをつくるタイプなので、真逆です。
そんなこんなで、この曲はトータルで石濱さん作曲っぽいかな、と思いました。

パッと聞いたら、二人の個性が融合してて全くわかんないです。



過去記事です。

ポップス好きのための「フランス近代音楽」

jesahm(自営山)さんの音楽を聴こう (耳コピつき)

増渕裕二さんのグッとくる佳曲

ざっき。北園みなみさんの試聴音源。好きなリズム。
→記事下部にあるような、
 ヘミオラとかポリリズムな楽曲が大好きです。 「3, 3」と「2, 2, 2」の変換。
 なぜいつも同じ曲調に惹かれてしまうんだろう。不思議な魅力です。


7 件のコメント:

  1. 連日の更新お疲れ様です。昨日の記事と合わせて楽しく読ませていただきました。
    トリ音さんの美穂新曲は最初に聞いた瞬間このブログを連想しましたね…笑
    分析してみるとこんなに細かく転調していたんですね。あまり意識させずに自然に聞かせられるのが凄いです。

    『8月のマリーナ』はMONACAマニアにはたまらない作編曲の組み合わせですね笑
    本文で述べられている通りメロディーが石濱さんなのに、ハーモニーや楽器の使い方のセンスが田中さんで不思議な感覚がします…。
    Aメロ、サビで共通して使われている I-Iaug-I6-I7 のクリシェはお二方とも使われる進行なので、なんだかどちらともとれる両義性があって面白いです。AメロのIV-IVmもレトロ感があって良い…。
    サビ直前のVI7(b9,b13)あたりは完全に田中さんの曲だなって感じですが笑
    シンプルなメロディーなのにこのハーモニー感覚がすごく魅力的。早くフルで聞きたいです〜

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    1. ごめんなさいサビはクリシェと違いますね…!

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    2. こんにちは しおさん。お読みいただいてありがとうございます。
      トリ音さんの音作りに弱くてずっと聴いています。ところどころ鳥の鳴き声みたいなシンセの使い方されますね。アレンジも面白くて癖になります。
      『世界はいつでもミステリー』という曲も、好きすぎて悶絶しました。

      『8月のマリーナ』は面白い曲ですねー。しおさんが言われるように、お二人に共通するコードが満載でうまく交じり合っていますね。完璧に聴き分け出来るといいんですが、僕は全然無理です!
      Aメロ・サビの動きはMONACAの味になっていますよね。最近の田中さんだと、augの動きをメロディーにいれこんじゃうかもしれません。

      VI7(b9,b13)は僕もめちゃ田中さんっぽい!と思いました。これでもメロディーは変化記号なしでうまく通ってるんですね。
      コードだけで判断すると、このテンションコードとサビのI/IIIでどっち作曲の可能性もありそうでした。
      フル版楽しみです。

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  2. 初めまして。
    石濱さんも田中さんも(更に言えば広川さんも)好きな自分からすると、8月のマリーナは俺得すぎる曲です。
    あんまりコード進行とかわかんないんで、感覚でしかないんですけど、
    メロディーは石濱さん作曲の恋するキャラメリゼに似てると思いました。
    ただ、アレンジが田中さんのおかげで、恋するキャラメリゼになりすぎるわけではなく、むしろアレンジを聴いてるとLet's アイカツ!が頭に浮かびます。

    この感覚は概ね間違ってないでしょうか?

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  3. こんにちは。
    僕も石濱さんの曲では恋するみたいなキャラメリゼに近い感触かなと思います。
    恋するみたいなキャラメリゼのサビは、8月のマリーナのサビと同じような旋律の動き方かなと思いました。

    田中さんアレンジは、ブラスやコーラスのハーモニーが複雑な印象があります。Let'sアイカツもそうかもしれません。

    石濱さんハモリは(神前さんと同じく)メロディーに並行する動き方をして、メロディーを分厚く引き立てるイメージです。ピッチも完璧なのでエフェクトっぽく聴こえます。3度主体でハモり易く作られているイメージです。
    田中さんハモリは4度・5度、変化記号などが多く、メロディーと異なる動き方も多い印象です。ピッチのブレも残しているため独立した対旋律、二重唱っぽく聴こえますね。

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    1. kahoさん。
      お返事ありがとうございます。
      ご丁寧にハモリの解説までしてくださり、重ね重ねありがとうございます。

      タイトルは恋するみたいなキャラメリゼでしたね(笑)
      石濱さんと田中さんは二人とも渋谷系から派生しているにも関わらず、お互い確立した音楽を作られるのでとても尊敬しています。

      もしよろしければ、今後UNISON SQUARE GARDEN(特に作曲担当の田淵智也さん)や清竜人25なども取り上げてくださるとより一層読むのが楽しみになります。

      ご検討の方、よろしくお願い致します。

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    2. ブログでは僕の偏愛する曲ばかり選んでおり、リクエストにお答えできないかもしれませんが、ご紹介とてもうれしいです。聴いてみますね。

      清竜人さんのMUSICはめちゃ好きです。
      今までにMosaic.wavと組んで作った曲がいくつかあって、どれも素敵なんですよね。柏森さんのポップス観に近いところがあって、相性ばっちりと思います。

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