2015/08/27

「少女交響曲」買いました

田中秀和さん作曲のWake Up Girls!「少女交響曲」が発売です。

買いました。
めちゃいい曲…。田中さんすごいです。
WUGの歌もキレキレで、歌詞も好き。

コードの構成音・ベースラインの連結がとても美しいです。
サビのコード進行をちょっとだけメモ。
間違っているところ多いと思うので、話半分でどうぞ。





(サビkey: F major)

1:33-

いっぱいなやんだ         ひびは        けっしてむだじゃ   ないか ら
I                    VIIm7-5       III7      VIm7                Vm7    Iaug

えがおだけは   きょうもチャージして      ふあんと   ぶつかる
IV    V/IV        IIIm7            bIIIdim7    IIm7         IIm△7       V       Vaug

ありのままを    だすの       は            とても   ゆうき  いるけ  ど          やっ
I                    VIIm7-5     III7        VIm     bVIaug    Vm      bVm7-5

ぱ     すなおな      じぶん   みて         ほし い
IV        V             IIIm7     III7/#V    VIsus4     VI/III

きみ に     と どけ      たい                はじめて  の       シンフォニー
IIm    IIIm    IV    #IVm-5    V      bVI       bVII     IIIm7/VII    VIm


田中さんっぽさもたっぷりありつつ、王道をゆく素晴らしい進行です。
以下、好きな所です。

■けっしてむだじゃないからー
1:36-
VIm7       Vm7   Iaug
Star!! に引き続き、田中さんの代名詞のようなaugコードです。

むだじゃないか「ら」ーの、浮き足立つ不思議な感触がたまらないですね。
Iaug (ドミ「ソ#」)  の音程がよく効いています。
こういう決めの音を、ストリングスの対旋律でもきっちり強調していて、ステキ。

参考:田中秀和さんのオーグメントコードを聴いてみよう


■ふあんとぶつかるー
1:43-
IIm7   IIm△7  V   Vaug   I

レファラ   レファラド#      ソシ    ソシレ#    ド
ド - ド# - レ - レ# - ミの半音上行が、鐘のような音で奏でられます。うーんきれい。

IIm△7 は、レファラド# なので、augの音程を含んでいます。
「不安とぶつかる」という歌詞に、「不安定なコード」が割り当てられており、
歌詞と音がリンクするような工夫が為されていますね。

また、歌詞には『よくあるクリシェは聞きたくない』という部分も出てきます。
上記のコードは、とても攻め攻めで風変わりなクリシェに仕上がっており、
こちらも歌詞に呼応しているようですね。


■サビ終わりのベース上行
1:56- のベースライン
レ - ミ - ファ - ファ# - ソ - ラb - シb - シ

めちゃ美しいです……。インスト版で聴いたときぞっとしました。
レ - ミ - ファ - ファ# - ソのセットは一般的にも使われるのですが、
ソから半音上がって最後まで走り抜けてます。

(追記)
『オオカミとピアノ』のサビ中にも同様の運用がありますね。
「グリム童話のようー」ので駆け上がってループします。
かっこいいです。
面白い作法がいっぱい詰まっていますね。


■歌うとき?の注意

ふ   あ  ん   と  ぶ    つ     る ー
ファ ミ   ファ ミ   ファ  ミ   ド#  ソ

き   み  に   と   ど   け     い ー
ファ ミ   ファ ミ  ファ  ミ       ソ


サビ前半と後半。
ぱっと聴くと同じフレーズのようですが、太字の音程が違うんです。

一回目の「か」は、augの増音程の影響で、半音上げのド#(実音でF#)になります。
二回目の「た」は普通のド(実音F)です。

一回目の半音上げはとても面白い音程なので、意識的に聴いてみましょう。
時間にして一瞬なんですが、田中さんのこだわりが詰まった音符だと思います。
(なんとなく、ここはレコーディングでばっちり練習してそうですね。
コードを意識しないと間違えやすいと思うので)

ふあんとぶつ「か」るー  とか、
けっしてむだじゃないか「ら」ー とか、
コードトーンに立脚した田中さんのメロディーはとても魅力的ですよね。

風変わりなのにポップです。 
風変わりだからこそ、かもしれません。

******


ほかにも、田中さんの「Dメロ後・キー下げサビ」といった転調作法など
いっぱい書きたいところありますが、このへんでお休みなさい。
4:06-の山下七海さんの歌唱が好き。

***

過去記事です。

■田中秀和さんのオーグメントコードを聴いてみよう
http://kaho-ss.blogspot.jp/2014/12/blog-post_7.html

田中さんのaugコード特集です。

■「さち子」の作曲をみてみよう (Lamp「ゆめ」より)
http://kaho-ss.blogspot.jp/2014/02/lamp_16.html

今回出たIIm7 → IIm△7 が含まれます。面白いクリシェ。
共通点ありますね。


7 件のコメント:

  1. 歯痛(はいた)2015/08/29 23:29:00

    kahoさん初めまして!歯痛と申します。

    何となく田中秀和さん(めっちゃ好きです)の記事を検索していてこちらのブログに辿り着いたんですが、過去記事でLamp(相当好きです)やキリンジ(死ぬほど好きです)にまで言及されていて、あまりの衝撃にのけぞりました。
    「自分以外にもこの辺とあの辺の作曲家を同時に好きな人がいたんだ!」と嬉しくなってしまい、思わずコメントしています。

    残念ながら自分は音楽的な知識は全くないためkahoさんの解説はほとんど理解できていないのですが、「自分にとってこの曲がなぜツボなのか?」が解き明かされている様は鳥肌が立つほどでした。

    テレポー塔も楽しくプレイさせて頂きました。BGMが素晴らしいですね…!
    今後は過去記事で紹介されている曲をじっくり聴いていってみたいと思います。

    いきなりの長文失礼しました。ではでは。

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  2. こんにちは歯痛さん。お読みいただきありがとうございます。

    田中秀和さんの曲はステキですよね…。Lampやキリンジもお好きということで、興味が近く嬉しく思います。
    高樹さんであれば、ナムコの先輩ということでMONACAサウンドと親和性があるかも?と思います。
    「遊びをクリエイトする」感じが好きです。

    音楽の聴き取りは本当に手慰み程度なのですが
    「なんとなく好き」を共有できるといいなと思い書いております。
    音楽の魅力は言葉にできないので、言葉にできそうな所だけはまとめられるといいですね。

    テレポー塔まで遊んでいただいてありがとうございます!
    BGM、のんびりですよね。

    更新ペースはゆっくりですが、今後もちょこちょこ更新したいと思います。

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  3. 歯痛(はいた)2015/09/06 17:25:00

    kahoさん返信ありがとうございます!

    >高樹さんであれば、ナムコの先輩ということでMONACAサウンドと親和性があるかも?と思います。

    お察しの通り自分も漏れなくナムコサウンドファンの1人なんですが、記事を遡っていると塊魂や太鼓の曲にも言及されていて驚きました。(増渕裕二さんの名前まで!w)

    それから、記事を拝見するうちに色々な曲で「ここの超かっこいいコード、あの曲と似てるかも?」と思っていた箇所が「Vm7→Iaug」という進行だったことも判明しました。すごい……!

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  4. ナムコサウンドいいですよねー。
    増渕さんとか大上昌子さんとか、太鼓の方々はとても好きなんです。

    このコード、ワクワクしますよね。おなじコードが好きになる、ということは良くあります。
    aug は、場合によって「b13」(フラットサーティーンス)と呼び名が変わるので、
    ・Vm7 → I7(b13)
    というのも同じ仲間になります。こちらも探してみてくださいね。

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  5. いきなりコメント失礼します。
    ピストンコラージュについて5年くらい前に昔調べて、まち=あめを聞いてずっと心に残ってたのですがずっとたどり着けず、それが最近アニソンにハマりだしてこの今日を分析しようといろいろ調べてたら、、まち=あめの方だったのですね。
    アップされている他の曲も気に入りました。
    紹介されていたLamp、Newest Zealand の曲など今も聞いてます。
    MONACAサウンドは最近知ったばかりなのですが、歌詞と曲の親和性がすごくいいですね。
    アレンジ含めて歌詞の世界観を表現しようとする工夫がすごいというか、、
    コードでは書かれてる1aug7にしびれました。
    あとは楽器の抜き差しで展開を作ったり、強調したいところをちゃんと楽器でライン作ってあげたり。
    この曲でほかに驚いたのが、サビに入るとシンセベース以外にもスラップのベースが重なって入ってるんです。
    とっくのとうに知ってなさったのかもしれませんが、やっぱ売れてる人はそこらへん一味違うなと。笑

    つい見つけたのが嬉しくて長文書いてしまいました。
    失礼しました。
    ではでは。

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  6. こんにちはkanta-さん。お読みいただきありがとうございます。
    私の曲をお聴きくださったのですね。曲作りはあまりしていませんが、時おり聴いていただけると嬉しく思います。ありがとうございます。
    Lampだけでなく、Newest Zealandまでお聴きとは。Newest Zealandいいですよねー。

    MONACAの音作りは、作者が誰かわかる前に「これMONACAかな?」と分かってしまうくらい盤石のアレンジが施されていますよね。インスト版が楽しいので、いつもシングルで買ってしまいます。
    少女交響曲のベース聴いてみましたが、確かにサビでスラップが加わってますね。。細部まで凄いこだわりです。こういう微妙な変化でサビを強く見せているんですね。

    kanta-さんの曲も聴かせていただいたのですが、アレンジ・ミックスがとても美しいと思いました。。
    モニター環境で聴いて、どの音もバランスよくキラキラと聴こえます。
    こういう田中秀和さんの編曲の妙技にお気づきなのもそうですが、素晴らしいアレンジの耳をお持ちなのだろうとお見受けしました。(フォローさせていただきました)
    今後も応援しております。

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    1. ありがとうございます。そう言っていただいてとても嬉しいです。
      僕はまだまだなのですが、お聞かせしても恥ずかしくないように頑張りたいです。
      僕もベースはこの曲フローチャートみたいなの作ってそこにいろいろメモしながら何回も聞いてやっと気づいたくらいです。
      本当にこだわりが強いですよね。。
      気づかないくらい、でも効果はバツグン??なんですかね。
      MONACA本当にいいですね。
      曲を聞くと常に新しい風を感じちゃいます。
      まだアニメ見てないのに、ブックレット欲しさにアイドルマスターのサントラ買っちゃいそうです。
      今後の楽しみが増えました笑
      ではでは、kahoさんの記事と曲、楽しみにしております。

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