Lampの他のアルバムとは毛色が違い、とても地味なアルバムです。
しかしながらLampのアルバムどころか、
日本のアルバムのなかでも類を見ない傑作です。
日本を背負う決意か、音楽愛か、熱量が溢れんばかりに出ていて、
そのわりに信じられないほど静かで淡々としていて。
聴いたことがないほど美しい曲ばかりです。
以下に、1,4,6曲目を紹介します。
通底する独特の雰囲気を味わっていただければと思います。
■ #1. 儚き春の一幕
つまり繰り返しが一切なく、印象的なフレーズ/コードが現れては消えていきます。
一篇の物語のように捉えると、その趣向はすんなり受け入れられるかもしれません。
そんな理由もあってか、歌詞の断片が心に残ります。
■ #4. 雨降る夜の向こう
転調の繰り返しからなる冒頭部を抜け、
サビの榊原香保里さんの歌唱で静かな盛り上がりに達します。
「複雑さで胸キュンをつくる」というLampの職人技が発揮されています。
■ #6. 白昼夢
冒頭のユニゾンが不思議な世界へ連れていきます。
ペンタトニックスケールを効果的に使い、耳触りの良いメロディーラインになっています。
間奏の美しいコーラスワークや、半音で上下動するサビ前の独特な動きなど
遊び心に富んでいます。
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このアルバムで、「Lampは〇〇っぽいバンドだよ」という言い方ができなくなりました。
上記のような音楽だと、Lampの代わりがいないからです。
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ランプ幻想は、ペット・サウンズと肩を並べられるくらい良い作品だと思います。
こういうふうにべた褒めすると胡散臭がられるだろうなあ、とは思うし、
日本のインディーズにそんな人が埋もれてるはずないよ、という気持ちもわかるんですが……
でも、そういう過去の名盤と比したくなっちゃう傑作です。
過去の名盤と同じように、30年後もこのアルバムは聴き続けられていると思います。
lampの中でも、このアルバムが。
この記事を読んだ誰かが、(気の迷いでも)「ランプ幻想」を買って、
一生の音楽に出会う機会になったらいいなと思います。
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