「ファンタジア」は、イタリアの異才デザイナー、ブルーノ・ムナーリが1977年に書いた、
デザインや創作作法に関する名著です。
そのp.38の「効果的な対比」について下記に引用します。
びっくりする記述がありました。
下記引用です。
''人があることについて考えるとき、
同時にその反対についても考えるというのは当然の話であり、自然の流れなのだ。
でぶのコメディアンがヤセの相方と一緒に登場すれば可笑しいと誰もが知っている。
ぶくぶくのでぶとガリガリのヤセなら、なおのこと可笑しい。
でぶはちび助でヤセがノッポなら、面白いことをしなくたって笑いがとれる。
つまり単純なことで状況を複雑にできるのである。
でぶのちび助を赤色に、ヤセのノッポを緑色にしたら、
この相反関係に基づいて補強された効果は前面に現れるだろう。 "
――ブルーノ・ムナーリ 「ファンタジア」
でぶ、ちび助、赤色。 ヤセ、ノッポ、緑色。
これって。
上記のムナーリの文章は、マリオブラザーズを暗に褒めているようにも読めますね。
しかし、落ち着いて考えねばなりません。
「ファンタジア」は1977年の著作なので、まだマリオブラザーズ(1983年)は誕生していません。
これはどういうことかというと……。
彼は、マリオブラザーズの秘めたるポテンシャルを
マリオブラザーズが生まれる前から指摘していたのです。
まじですか。
ムナーリさん。
*
なぜこのような奇妙な一致が見られたのでしょう。
時系列的には、
任天堂の宮本茂さんが、当時「ファンタジア」を読んでいた可能性もありますが、
この本、邦訳は2006年なんですよね。
やはり、宮本さんも独力で同じ直感にたどり着いたのだと思います。
驚くべきことです。
この一致を鑑みるに、
やはり説得力のあるデザインの裏には
なにかしら人類共通の「原型」が隠れているのではないか、と信じたくなります。
そしてマリオブラザーズは、根本的なところでうまくいっている。
ブルーノ・ムナーリの言葉を借りるならば、
マリオブラザーズは、面白いことをしなくたって笑いがとれる。
世界的人気のバックボーンがこんなところで垣間見えるとは驚きです。
*
マリオのデザインについて、下記が参考になりそうです。
■社長が訊く「New スーパーマリオブラザーズ Wii」 宮本茂さんインタビュー
http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/smnj/vol1/index3.html
■マリオのポッチャリ体型は必然の産物!?ファミコン時代の苦労を宮本さんが明らかに
http://www.kotaku.jp/2011/05/mario_body_type.html
こちらを読むと、
キャラクターのデザインはハードの制限も大きく影響したようです。
そうして試行錯誤した結果、着地点が一致した。
面白いですね。
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