数人におすすめしたい洋楽アルバムを3枚選んでみました。
綺麗なコードワーク・コーラスワークや、
曲を最後まで聴くことで発見がある(伏線回収する)音楽が好きです。
紹介文をたっぷりめに書いてみました。
1. Cold Crows Dead 「I Fear A New World」
2. Giorgio Tuma 「My Last Tears Will Be A Blue Melody」
3. The Sonic Executive Sessions「The Sonic Executive Sessions」
各アルバムにつき、2曲ずつ紹介します。
話半分でどうぞ。
*
1. Cold Crows Dead 「I Fear A New World」 (2014)
■1-1 Cold Crows Dead - Deadheads
あまりにも素敵なので、これがデビューアルバムなわけないと思ったら、
Paul Steel の新しいプロジェクトだそうです。
冒頭を聴くと、普通のバンドサウンドかなと思うのですが、
サビ(0:27-)で急にリズム隊が消え、
伴奏がストリングスに変わって、一気に引き込まれます。
サビのフレーズ(「ソミ・ソミ」)が印象的ですね。
このサビ部分を使って、最後に大きな仕掛けがあります。
調の移り変わりを見てみましょう。
0:00 0:27 0:42 1:06
Ab F(サビ) Ab F
-3 +3 -3
2:06 2:18 2:30 2:42
F# G Ab A
+1 +1 +1 +1
前半はキャッチーな短三度転調(±3)を繰り返します。
サビでグッとくるのは、短三度下転調の効果だったのですね
後半はサビ部分を繰り返しながら、
4回連続の半音上転調(+1)が続きます。聴いてて嘘だろ……ってなりました。
「ラストサビの半音上げは盛り上がるから、何度もやっちゃえ」ですね。
素晴らしいアイデアです。
*
こんな感じで、以下続きます
↓
■1-2 Cold Crows Dead - Loves in, Loves out
0:36-から半音下がりのクリシェが入って、
すこしずつ感傷的な響きが増えます。
ビートルズの雰囲気ありますね。
サビ(0:44-)の旋律をよく聴いてみると、
先ほどの曲と一緒なのがわかるでしょうか。
「ソミ・ソミ」の特徴的な動きです。
アルバム通して聴くと、こういう統一感がとても美しいです。
すこしずつ感傷的な響きが増えます。
ビートルズの雰囲気ありますね。
サビ(0:44-)の旋律をよく聴いてみると、
先ほどの曲と一緒なのがわかるでしょうか。
「ソミ・ソミ」の特徴的な動きです。
アルバム通して聴くと、こういう統一感がとても美しいです。
1:55- の2回目のサビを経て、2:38から雰囲気が変わります。
ここのコード進行 VIm → IVm7 も嘘だろ……ってなりますね。
マイナーからマイナーに進んで、不安定な動きのコーラスが重なります。
ここのコード進行 VIm → IVm7 も嘘だろ……ってなりますね。
マイナーからマイナーに進んで、不安定な動きのコーラスが重なります。
3:02で、先ほどのマイナーコード(IVm7)が2拍分、静かに鳴り終わると
(ここが最高にカッコイイです)
3:04で、和音がメジャーコード(IV△7)に切り替わって、
シンセストリングスのポルタメント(ぐいーんと上がるやつ)が
高らかに響きます。目の前がぱっと晴れる感じがしますね。
盛り上がり曲線がとても綺麗です。
*
2. Giorgio Tuma 「My Last Tears Will Be A Blue Melody」(2016)
■2-1. Giorgio Tuma - Maude Hope
イタリアのジョルジオ・トゥマ。
初めのコードワークで、大好きになりました。こんな感じでしょうか。
0:09-
IIm9 I△9 bVI7(9,13) IV△7/V
3つめのコード、意外性あって素晴らしいです。惹き込まれますね。
曲の要所要所でアクセントとして使われています。
0:09-
IIm9 I△9 bVI7(9,13) IV△7/V
3つめのコード、意外性あって素晴らしいです。惹き込まれますね。
曲の要所要所でアクセントとして使われています。
この曲はドラムパターンの変化が効果的なので
着目してみましょう。
着目してみましょう。
0:00から、単調な3拍子のカチカチしたリズムではじまり、
1:08から、6/8拍子風のゆったりとしたグルーブ感が出てきます。ここが好き。
一回目(0:09)と二回目(2:00)のサビ、雰囲気がまったく違いますよね。
同じメロディーなのに、熱を帯びた感じがします。
ジョルジオ・トゥマは、ステレオラブのフォロワーだそうで、
2:53あたりから聴くと、生音と電子音の融合が、まさにという感じです。
女性ボーカルは、なんとステレオラブのレティシア・サディエールです。
愛があふれてますね。
以降、徐々に曲が壊れていき、ミニマルなメロディーだけが繰り返されます。
生音と電子音とコーラスがあふれて、ステレオラブやハイ・ラマズのような
桃源郷的な世界が立ち上がります。
最後は、4:19-からのミニマルなギターフレーズが飾ります。
最後は、4:19-からのミニマルなギターフレーズが飾ります。
■2-2. Giorgio Tuma - My Last Tears Will Be A Blue Melody
コードネームをざっくりつけると、こんな感じでしょうか。(自信ないです)
0:00-
A△7(9) G#7(b9) /A Bm7/E C#7(b9) /D
( Adim7(add G#) ) ( Ddim7(add C#) )
ディグリーだと
( I△7 VII7(b9) / I IIm7/V III7(b9) / IV )
2つめと4つめのコードは、
ディミニッシュセブンスコード(赤字) とメジャーセブンス(青字)の響きが
同時に聴こえるような、不思議な魅力があります。
2つめのコード: ド ミb ソb ラ(シbb) + シ
4つめのコード: ファ ラb シ(ドb) レ(ミbb) + ミ
機能としては、7(b9,13)の根音省略とも取れますね。
とても好みです。
この曲も非常にミニマルで、冒頭のコードワークがずっと循環します。
アレンジで特筆すべきところは、1:42からのリズムです。
高らかにロールするスネアドラムにびっくりしました。
あまりに予想外だけれど、一回聴いてしまったら
これしかないと思ってしまう不思議な説得力があります。
最後は、2:47-のコーラスからリズムが止まり、巡り巡って
3:23の鮮やかなハープでリズムが回帰します。
ロマンチックですね。
*
3. The Sonic Executive Sessions「The Sonic Executive Sessions」(2010)
※このアルバムは、ボーナストラック(#12-18)付きがおすすめです。
日本版など。
ボーカル/コーラスのみの音源が付いているので、美しい歌声を堪能できます。
■3-1. The Sonic Executive Sessions - You'll Never Be Happy
日本版など。
ボーカル/コーラスのみの音源が付いているので、美しい歌声を堪能できます。
■3-1. The Sonic Executive Sessions - You'll Never Be Happy
ザ・ソニック・エグゼクティブ・セッションズのアルバムには、
ポップミュージックへの愛と魔法がいっぱい詰まっています。
イントロの美しいコーラス(0:00-0:12)が印象的です。素敵な声。
このコーラスをよく覚えておきましょう。
サビ1:03-のハーモニーは不思議な聴感でキラキラしています。
コードワークを書くと、こんな感じでしょうか。
1:03-
| Iadd9/V | II7(9)/VI | IIIm7(11) bVII7(9) |
| bIII△7 IIm7/V |
ブライアン・ウィルソン風の第二転回形(青字)を大胆につかっています。
ふわっと浮かんだような優しい響き。
その後、予告なしのモーダルインターチェンジ(赤字)で
一瞬だけ短三度転調しています。カッコイイですね。
サビ1:03のコーラスアレンジをよく聴いてみてほしいのですが、
先ほどのイントロのコーラスがまるごと入っています。
イントロは、サビの予告だったんですね。こういう遊び心にときめきます。
1:37からの2番は、どこもかしこもコーラスで溢れていて、
聴いてて幸せな気持ちになります。
2:39のクイーン風のギターソロも楽しく、2:56-のブレイクの作り方も
まるでボヘミアン・ラプソディみたいな感じしますね。
ポップミュージックへの愛と魔法がいっぱい詰まっています。
イントロの美しいコーラス(0:00-0:12)が印象的です。素敵な声。
このコーラスをよく覚えておきましょう。
サビ1:03-のハーモニーは不思議な聴感でキラキラしています。
コードワークを書くと、こんな感じでしょうか。
1:03-
| Iadd9/V | II7(9)/VI | IIIm7(11) bVII7(9) |
| bIII△7 IIm7/V |
ブライアン・ウィルソン風の第二転回形(青字)を大胆につかっています。
ふわっと浮かんだような優しい響き。
その後、予告なしのモーダルインターチェンジ(赤字)で
一瞬だけ短三度転調しています。カッコイイですね。
サビ1:03のコーラスアレンジをよく聴いてみてほしいのですが、
先ほどのイントロのコーラスがまるごと入っています。
イントロは、サビの予告だったんですね。こういう遊び心にときめきます。
1:37からの2番は、どこもかしこもコーラスで溢れていて、
聴いてて幸せな気持ちになります。
2:39のクイーン風のギターソロも楽しく、2:56-のブレイクの作り方も
まるでボヘミアン・ラプソディみたいな感じしますね。
■3-2. The Sonic Executive Sessions - 17 Over You
全編通じて、丁寧なコーラスワークに聴き惚れてしまいます。
サビ 0:40- の複雑な和音使いにときめきます。
そして、最後の落ちサビ(2:31-) が寂しげでとてもカッコイイです。
今までの分厚いコーラスが「ない」ことが魅力的に聴こえますね。
*
解説しすぎは無粋ですが、サビのハーモニーをざっくり聴いてみます。
(実際はもっと細かい動きが入っていて、僕だと聴きとれません)
0:40-
| I | bVII7(9,#11,13) bVII(9) |
| IIm7/VI V7(9)/VII | IV/I I/II I/III IV |
0:52-
| I | bVII7(9,#11,13) bVII(9) |
| IV/VI VI I/III | II7(9)/bIII IIm7 V/I | IV/I
( ≒ bIIIdim7 )
実音で Cdim7 (add B)
素敵な和音が満載です。
サビ2小節目の強烈なテンションコード(赤字)は、
ベースに対してメロディーが#11thにあり、増四度の鋭い響きを持っています。
3-4小節めは、ベースの順次上行に対して、
転回形の連続(青字)を当てていてとてもおしゃれ。
8小節目は、先ほどのジョルジオ・トゥマの曲にも出てきた、
ディミニッシュ+△7の響きをもつコード(緑字)が使われています。大好き。
**
僕の好みな洋楽アルバム3枚を紹介しました。
ジャンルは違いますが、少し共通するところはありそうですね。
気に入ったものがあれば、ぜひアルバム通して聴いてみてください。
過去記事です。
こちらも大好きなアルバムを紹介しています。
■ 親しみを感じるアルバム10枚
サビ 0:40- の複雑な和音使いにときめきます。
そして、最後の落ちサビ(2:31-) が寂しげでとてもカッコイイです。
今までの分厚いコーラスが「ない」ことが魅力的に聴こえますね。
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解説しすぎは無粋ですが、サビのハーモニーをざっくり聴いてみます。
(実際はもっと細かい動きが入っていて、僕だと聴きとれません)
0:40-
| I | bVII7(9,#11,13) bVII(9) |
| IIm7/VI V7(9)/VII | IV/I I/II I/III IV |
0:52-
| I | bVII7(9,#11,13) bVII(9) |
| IV/VI VI I/III | II7(9)/bIII IIm7 V/I | IV/I
( ≒ bIIIdim7 )
実音で Cdim7 (add B)
素敵な和音が満載です。
サビ2小節目の強烈なテンションコード(赤字)は、
ベースに対してメロディーが#11thにあり、増四度の鋭い響きを持っています。
3-4小節めは、ベースの順次上行に対して、
転回形の連続(青字)を当てていてとてもおしゃれ。
8小節目は、先ほどのジョルジオ・トゥマの曲にも出てきた、
ディミニッシュ+△7の響きをもつコード(緑字)が使われています。大好き。
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僕の好みな洋楽アルバム3枚を紹介しました。
ジャンルは違いますが、少し共通するところはありそうですね。
気に入ったものがあれば、ぜひアルバム通して聴いてみてください。
過去記事です。
こちらも大好きなアルバムを紹介しています。
■ 親しみを感じるアルバム10枚
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