2014/06/22

カルロス・アギーレ(Carlos Aguirre) の音楽はジャンルを超えて

カルロス・アギーレはアルゼンチンのピアニスト・シンガーソングライター。
天才ヒゲおじさんです。

クラシックもジャズもポップスも、フュージョンもフォルクローレも含め、
多ジャンルを見事に織り交ぜながら独自の音楽を構築されている方です。

その音楽は
同郷のアストル・ピアソラっぽくもあるし、同じ南米のトニーニョ・オルタっぽくもあるし、
ジャズ/クラシックを行き来するピアニズムはニコライ・カプースチンのようでもあります。
彼らに共通して言えるのは、エンターテイナー気質に溢れていて、聴いてて楽しいこと。

初めて聴いたときから夢中になり、アルバムを全部買ってしまいました。
最良の音楽家の一人だと思います。

以下に、カルロス・アギーレの作品を紹介します。








■Carlos Aguirre - Náufrago en la Orilla
カルロス・アギーレらしさが良く出たポップな佳曲。
通しで聞いてみると、楽しさのなかにちょっと影を持っている感じがしますね。
僕が思うカルロス・アギーレの特徴をいうと、

・マイナーコードの使い方
 例えば0:39-とか、サビの着地1:07-がマイナー調になっています。
  この陰る感じが、ピアソラとも通じる魅力だなあと思います。
 明暗のバランス感覚がたまらないです。

・楽器のハモり
 カルロス・アギーレの曲には、ボーカルに加え楽器同士のハモリが多く、
 特に3度(6度)やオクターブで、左右別れた配置で演奏されることが多いです。
 上記の曲だと、冒頭フレーズが左右でハモっています。
 左右パートが同じ動き方をするところが面白いんです。


■Carlos Aguirre Grupo - Zamba De Mancha Y Papel
美しいメロディーに惚れ惚れしてしまう、優れた一曲です。
前述の特徴に照らし合わせて聴いてみると…

・1:42- マイナーコードでちょっと翳りが感じられます。
 そして、その翳りを一掃するかのように、明るいサビが続いていく。
 気持ち良い解放感です。

・冒頭、左右ギターでオクターブハモリがあり、
 そして0:36-から、3度ハモリが続いていきます。
 全編に渡って、左右から同じ動き方のフレーズが聴こえてきますね。


■Francesca Ancarola & Carlos Aguirre - Nana para Simón
カルロス・アギーレのピアノを歌とともに聴いてみます。
この伴奏、歌。胸が締め付けられる感じがします。
この曲はRicardo Picoという方のカバー曲ですが、
カルロス・アギーレの卓越した編曲・演奏が堪能できます。

ところでこの動画、なぜかつよいノスタルジーに浸ってしまいます。
まるで心象風景のようで。
思い出せない思い出をみているようで、胸が苦しい。


■Lucho Gonzalez & Carlos Aguirre - Cuando Yo Me Transforme
気分を変えて、フュージョン色が濃い一曲です。ギタリストLucho Gonzalezとの共作。
小気味良い同音連打のイントロから始まり、
0:43からめちゃめちゃキャッチーなメインメロディーが登場します。
往年のシューティングゲームBGMのような爽やかな編曲。

鍵盤もギターも、アタックが強調されていて、
打楽器なしとは思えない鮮烈なリズムを鳴らしています。
1:40から、例の同じ動きがピタッと決まり、超かっこいい。
どちらも演奏能力ありすぎる。


■Francesca Ancarola & Carlos Aguirre - Canción De Luna
カルロス・アギーレのマイナー調はとても美しいです。
イントロから名曲の香りがするこちらの作品。
暗さのなかに光が灯るような一曲。

全編がマイナー調で進行していきますが、
暗がりのなかから、0:51-のメジャーコードがふわっと現れたり、
1:44から、急に低音が消えて、救済のような美しいメジャーコード(I/III)が現れたりします。

この曲、遠い昔から歌い継がれてきたように思えて仕方ないです。
本当は新曲なのですが。
普遍的な名曲とは、こういう錯覚をしてしまうものなのかも。


■Carlos Aguirre Grupo - Maripossa Leve
最後にこちら。
10分を超える大曲なのですが、好きで好きでたまらないです。
雄大で、まったりのんびりした音楽。
聴いてるとあっという間に10分過ぎる。
音楽の、音と楽が全部詰まっています。

生き生きしたピアノと歌声が、ポリリズムのなかを動き回ります。
長いので曲構成をいうと……

0:07 曲の主軸となる複合リズム(=ポリリズム)が登場。
0:56 癒やしタイム。鳥の鳴き声や環境音に包まれます。

1:48 ここから歌のはじまり。ポリリズムが再登場。
    メロディーとピアノがギリギリの線で重なり合います。
3:19 南国リズム → カルロス・アギーレの癒やしボイスと怪しい女性コーラス
    → クールダウンしてギターソロへ。

5:39 ちゃかたんたんちゃかたん♪
        たんちゃかたんたんちゃかたん♪
    ここ凄い!
        聴いてると嬉しくて笑みがこぼれる。
    音楽を突き詰めると、こういうフレーズが書けるんだ。
    凄みというか、狂気すら感じます。

7:27 再びの南国リズム → 歌声が最高潮に盛り上がり
    → エンティングへ


***


まとめです。

・カルロス・アギーレの音楽は、ジャンルを超えてイイ曲ばかり。
・マイナーコードや、左右楽器の同じ動きに注目すると楽しい。


他の記事

■ノラ・サルモリア(Nora Sarmoria) のときめく曲想
http://kaho-ss.blogspot.jp/2014/12/nora-sarmoria.html

同じくアルゼンチンの方。
奔放で、優しい音楽を作る方。


■エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)の楽しい曲想
http://kaho-ss.blogspot.jp/2015/01/hermeto-pascoal.html

ブラジルの天才音楽家です。

3 件のコメント:

  1. Carlos Aguirre、本当に豊かで繊細で叙情的で素晴らしいですね。
    OrillaniaをAmazonで購入致しました。しかし他のアルバムが見つからず、、。
    もし他のアルバムをどちらでお買い上げになったか教えていただければ嬉しいです。

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  2. こんにちは。カルロス・アギーレは繊細でステキですよね…。聴くたび惚れてしまいます。
    購入履歴を調べたところ、下記で購入しておりました。
    すべてオンラインショップからです。
    2014/3 あたりの情報ですので、改めてご確認をおねがいします。

    ・タワーレコードオンライン: violeta、 rojo、 Tenjido A Mano
    ・HMVオンライン: crema、 orillania
    ・ディスクユニオン: Arrullos
    ・Hummock webshop: Caminos

    Carlos Aguirre Grupo 名義の、Crema、Rojo、Violeta の3枚がオススメです。

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    1. 迅速な返信ありがとうございます!詳しい情報助かります。
      カルロス・アギーレだけでなくkahoさんが紹介する音楽が大好きなので、今後も更新頑張ってください。応援しております。

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