「タイムトラベルの哲学」(青山拓央・著) を読んでいて、
過去へタイムトラベルする方法 について考えたくなりました。
「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」
とジュール・ヴェルヌも言うていますので
「人間が想像できる」 ことをゴールにします。
アホかつ長い記事なので、暇な人だけ読んでください。
創作の足しになるといいな。
まずは未来から始めます。
■1. 未来へ行く ********
まずは未来へ行く方法。
下記のアイデアを使いましょう。
・ 人間を冷凍睡眠状態にし、100年後に起こす。
→人間は100年後の未来に行ける。
寝て起きたら100年後の世界になっているんですね。
これで未来方向のタイムトラベルは完成です。
■2.過去へ行く ********
▲ 2-1 物理学の方法
では、過去へ行く方法を考えます。
ここで通常なら、急に現代物理数学やらの話になってしまいます。
(参考) タイムトラベル11の理論
理論がいっぱいあります。
難しいのでよくわかりません。
唯一わかったのは、過去方向へのタイムトラベルの方が難しいということ。
そうなのでしょう。
▲ 2-2 RPGの方法
とはいえ、過去へのタイムトラベルについて
アホでも考えたいのです。
ひらきなおって、いったんゲームの話をします。
ロールプレイングゲーム(RPG)について。
一般的なRPGにおいて、過去へ行くことは可能か?
を考えてみます。
- 2-2-1 RPGとタイムトラベル
RPGでよくあるのが、
「あのアイテムを取り逃したからもう一回ダンジョンやり直そう」
「あのイベント面白かったからもう一回見よう」
というケース。
これはまさに、過去へのタイムトラベルですね。
過去へ戻ってもう一度ボスに挑戦するとか、
過去へ戻って死んだあの人と再会するとか。
なんだか、ゲームだとあたりまえに実現できそうな感じがします。
ゲームにおいて、過去へのタイムトラベルを実現するには、
下記2つがあればOKです。
1. そのゲームにセーブ/ロード機能が備わっていること。
2. 戻りたい地点で、事前にセーブができること。
- 2-2-2 タイムトラベル例
「ファイナルファンタジー」は、上記の1,2が当てはまるので、
タイムトラベルが成立します。
1.セーブ/ロード機能が備わっている。
2.任意のタイミングでセーブができる(※少し場所限定あり)
事前にセーブポイントでセーブしておけば、どれだけ未来に進んでいたとしても、
ロードで戻りたい時間まで戻ることができます。
いつでもゴールドソーサーで遊んだり、
バレットとデートしたりできます。(FF7)
つまりRPGにおいては、「タイムトラベルシステム」などを特別に用意しなくても
通常のセーブ/ロード機能でタイムトラベルが実現できるということです。
- 2-2-3 現実に当てはめると
この「セーブ/ロード」の考え方は筋が良さそうです。
あらかじめセーブしておいて、それを手がかりに過去へタイムトラベルする。
この方式って使えるかもしれませんね。
これを現実に当てはめると、
たとえば、織田信長がいた時代で「セーブ」しておけば
ずっと未来でも、織田信長の世界を「ロード」できる、というイメージです。
とはいえ、僕らの世界はファイナルファンタジーではないため、
セーブ/ロードって具体的に何なん? となりますね。
▲2-3 過去へ行くまとめ
とりあえずここまでで、
セーブ/ロード機能があれば、過去へタイムトラベルできるかも
という道筋を立てました。
次からは、
現実においてセーブ/ロードを実現する方法を考えましょう。
■3. セーブ・ロードによるタイムトラベル ***********
世界をセーブ・ロードする方法。
なにが考えられるでしょうか。
なかなかゲームのようには行かないでしょうが、
なるべくシンプルに考えてみます。
▲3.1 世界を寝かせる
冒頭に、冷凍睡眠の話が出てきたので、
せっかくだからこれを使いましょう。
地球まるごと冷凍睡眠させる というアイデアはどうでしょう。
地球のセーブ/ロード。
ひとりの人間を冷凍睡眠すると、未来に行ける、というのは前述しました。
世界を冷凍睡眠するとなにが起きるのでしょうか?
▲3.2 地球の冷凍睡眠とタイムトラベル
下記の状況を想像してみましょう。
・ 地球を冷凍睡眠状態にし、100年後に起こす。
これによってタイムトラベルが成立するのでしょうか?
確認してみます。
例:
2013/06/23に、地球と人類が冷凍睡眠にはいった。
一部の人間だけが、月へ退避して、月面で新たな世界を築いていくことになった。
100年後の2113/06/23に、地球と人類の冷凍睡眠が解かれた。
月面人は、解凍したての地球に降り立った――
すると、
・このとき月面人は、100年前の世界に降り立つことになる。
・地球人にとっては、100年後の世界から突然未来人がやってきたことになる。
確かに過去方向のタイムトラベルが成立しています。
セーブ/ロードがうまく働きました。
▲3.3 まとめ
上記をまとめると、
① セーブ/ロードによってタイムトラベルできる。
② セーブ/ロード機能として、冷凍睡眠をもちいる。
③ 人間を冷凍 → 未来へタイムトラベル
世界を冷凍 → 過去へタイムトラベル New!
こうなります。
冷凍対象が変わると、タイムトラベル方向が変わるんですね。
面白いです。
■4 タイムトラベル拡張 *********
▲4.1 セーブ方式の問題点
では、この荒唐無稽なタイムトラベルの
切実な課題を見てみましょう。
冷凍方法とかはもちろん不問です。
課題:
・地球をセーブしたあと、地球に住めない。
・セーブは1パターンのみ。
→ 1つの日時にしかタイムトラベルできない
このままだと、冷凍した1回きりのタイミングに囚われすぎていますね。
これを解決するにはもはや常識では立ち行かないので
無茶な発想力で対応したいところです。
▲4.2 地球のバックアップを取る
では、任意のタイミングへのタイムトラベルを実現するには
どうすればよいか。
先程と同様にゲームの手助けを借りましょう。
RPGの世界で、任意のタイミングへのタイムトラベルを実現するには。
セーブスロットを多数用意して、
別データに何回もセーブしておけばOKですね。
ひとつ進むことに必ずセーブを残す。
*
これを応用すると、
任意時間へのタイムトラベルを実現するには
・2013/06/23から、1日1個ずつ、
地球のクローンを作って冷凍睡眠させておく
というアイデアで達成できそうです。
メインの地球は動かし続けておいて、
毎日1個ずつ地球のコピーを冷凍保管しておきます。
イメージで言うと、
20130623_地球.zip
20130624_地球.zip
20130625_地球.zip
……
21130623_地球.zip
こうやってバックアップを残しておこう。
これにより、2013/06/23以降であれば、
その時の地球にアクセスすることで、
任意の日付へタイムトラベルすることが可能になります。
もっと正確にタイミングを指定したければ、
地球のクローンタイミングを時間ごと、分ごと、秒ごとで取得すればOKです。
▲4.3 無理
無理です。
大量のクローンが厳しいです。
*
でも、なんとなく過去へのタイムトラベルの全貌が想像できました。
何かしら世界のバックアップをとっておけば、
過去へのタイムトラベルが実現できるのです。
アホとしては見事なゴールです。
なんの学術用語も出てこなかったし。
因果律も破れていない。
タイムパラドックスもない。
凍った地球がいっぱいできちゃうけど。
▲4.4 バックアップによる過去へのアクセス
凍った地球とかバックアップとか。
なにやら無茶で面白い結果がでました。
バックアップという考え方ですが、
人間は本来的に、
バックアップ=セーブを残すことで未来や過去へアクセスする生き物だと思います。
文書記録や映像記録によって、過去の僕らは未来へパスを回し、
未来の僕らは過去の輪郭を知ることができます。
考えてみれば、今までの「歴史」の成立と同じでした。
*
たとえば下記も、バックアップやログを使った簡単なタイムトラベルといえます。
・PCを定期的にバックアップし、トラブル時に過去の状態へデータを復元する。
・文章を書き間違えた時に、Undoキーで過去の状態に戻す。
このようなタイムトラベルはとてもありがちなものです。
地球規模だと突飛な感じがしますけどね。
▲4.5 まとめ
・地球の冷凍セーブ/ロードによってタイムトラベルができる。
・さらに、定期的に地球のバックアップを残しておくことで、
任意時間にタイムトラベルできる。
■5.おわりに *******
以上、
RPGのシステムをヒントに、
過去へのタイムトラベルを考えてきました。
最後に、多少なりとも議論を現実に寄せてみようと思います。
*
人類がタイムトラベルを得るためには
上記のような、バックアップ方式が常道だろうと考えます。
もちろん、いきなり地球の冷凍クローンとかいわず。
「その時代の情報をできるだけ未来に向かって残す」ということです。
ごくあたりまえの試みを続ければいい。
文書でもデータでもとりあえず世界のあれこれをたくさんセーブしておく。
ビッグデータをかき集めるところから始まるのでしょう。
はじめは単なる記録の集まりでも
徐々にデータ数が増えることでバックアップの解像度は増していきます。
得られる情報のかたちが変わっていき、
遺伝情報や3Dスキャンデータや五感の数値化など、精細で多様な情報を
新しいフォーマットの歴史書として残すことが出来れば、
未来人が「ロード」できるようになるかもしれません。
単なる記録でなく、経験として享受できるような。
冷凍睡眠地球のような。
*
まとめ。
・過去へのタイムトラベルは、精細なバックアップの参照、という形で
いつか擬似的に達成できるだろう。
・現代の僕らの使命は、未来の人類が僕らの世界に「タイムトラベル」できるように、
多くのセーブデータを残しておくことだ。
以上が結論です。
結局、純粋なタイムトラベルではないし、
現代人がタイムトラベルするのは難しいね、ということなのですが。
未来へ良いパスを回したいですね。
*******
まじめに読んでくださった奇特な方、
ありがとうございました。
■6. 参考文献
「タイムトラベルの哲学」 青山拓央・著
タイムトラベル11の理論 (ニコニコ大百科)
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