たくさん寄り道したいです。
*
笹井宏之さんの歌集「えーえんとくちから」。
笹井さんは、26歳で急逝された、才ある歌人です。
以下、紹介します。
以下、紹介します。
風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける
両親が出会ったという群青の平均台でおやすみなさい
この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい
「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい
僕は短歌の鑑賞法には疎いのですが、
それを補うくらい、笹井さんの感性は心に刺さります。
僕は筒井康隆さんやモーリス・ラヴェルにあるような、
「抑制からこぼれ落ちた叙情」がとても好きなのです。
照れの叙情、とでも言えばよいのでしょうか。
冗談のなかから、寂しさがぽろりとでるような。
機械の身体から、涙がぽろりとでるような。
彼の作品は、それに似た、いやそれ以上に繊細な、
はにかんだような手触りが感じられます。
上記の歌を見ても分かる通り、
一見すると非現実的で、奇をてらったような作風にも思えますが、
歌の隙間から、とうとうと流れる感傷の一端が顔を出します。
ときには、風や、シーツとなって。
*
この言葉の感覚。すばらしいです。
僕も、まちがえて図書館を建てたい。
こちらのHPから笹井宏之さんの作品を知り、その世界をのぞきました。
返信削除自分も短歌や詩に疎い人間で、
まして言葉もつたないものですから、短歌の側からしたら
ガラス窓の向こうで見られているような気分だったと思いますが、
一枚隔てた場所から見ていても、
透明さと空気の清さに触れた気持ちでした。
いい本を紹介していただけました。
ありがとうございます。
こんにちは。
返信削除この文章が笹井宏之さんを知るきっかけになったなら、とても嬉しく思います。
コメントに書いていただいたとおり、笹井さんの作品は
僕らの知識や感性の有無などをとびこえて、優しく誘ってくれる感じがします。
たった一行でこれだけ心動かされるなんて不思議です。