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真部脩一の「モチーフ作曲法」について考えてみます。
思いつくままに。
話半分でよんでみてください。
(17.3.20更新)
■真部脩一(ex.相対性理論) のペンタトニックスケールを解析してみよう
真部脩一さんの独特なメロディーを詳しく聴いてみました。
こちらもどうぞ。
↓
1.モチーフ作曲法について
■Moist Diane モイスト・ダイアン CMソング (真部脩一提供)
真部さんの曲には、多くの共通パターンが隠れています。
同じコード進行だったり、同じメロディーだったり、同じ歌詞、同じリズムだったり。
このパターンを、今回は「モチーフ」と呼んでみます。
モチーフの例としては、例えば下記があります。
① 田中・真部コード進行(仮) ( 4 5 6 1 など)
② 真部メロディ (レミレドラ / ペンタトニックスケール)
③ イントロ付き歌詞 (ぺ・ぺ・ペペロンチーノ / さ・さわやか) <頂いたコメントより>
冒頭のCMソングにも用いられています。
デコ・デコ・デコルテ。
これらのモチーフは、単独でも真部っぽさを想起させるインパクトがあります。
そして、複数のモチーフを一曲の中に惜しげも無く詰め込むと、
それらが有機的に結合して、真部サウンドが展開されてゆきます。
そんな彼の作曲方法を、「モチーフ作曲法」と呼んでみることにします。
(いま思いつきました)
2. モチーフ例:真部コード(1)
ところで冒頭の3つのモチーフは、彼の方法のほんの一部に過ぎません。
他にも沢山のモチーフが隠されているのです。
今回は、モチーフの一つである「真部コード(1)」 を取り上げて、
モチーフ作曲について考えてみたいと思います。
こんなのです。
Fig. 真部コード (1)
特徴は、
・5個1組
・C調だと F Em Dm Em Am
・③→④は田中真部コードと同じ構造
タルトタタン~ハナエ期にかけて使用されているコード進行です。
記号だとようわからんので、実例で確かめてみましょう。
2-1 ハナエ「十戒クイズ」より
真部コード(1) がどのくらい使われているか確認してみると、
なんとアルバム10曲中5曲で使われていました。
無茶です。
● ハナエ - JUVENILE!!!! Aメロ 0:07-
● ハナエ - Boyz & Girlz サビ 1:04-
同じコード進行なのがわかるでしょうか。
同じコード進行なのがわかるでしょうか。
● ハナエ - 神様はじめました サビ 1:06 -
サビの途中に使われているパターンです。
● ハナエ - 疾走感 Bメロ
サビ前のつなぎで用いられます。
● ハナエ - キストピックス Aメロ
JUVENILE!!!!と同じく冒頭から。
このコード進行は、
Aメロにも、Bメロにも、サビにも使うことができるのですね。
便利。
2-2 タルトタタン「テトラッド」より
●タルトタタン - 恋するカレンダー Bメロ 0:47-
この曲での使い方が一番わかりやすいかもしれません。
Bメロでガラッと雰囲気が変わります。
かっこいい!
●タルトタタン - しょうがないマイラブ Bメロ
8小節に渡ってゆっくり使われます。2倍の長さ。
●SKY-HI - 糸 (真部脩一提供曲) Aメロ~サビ
全編にわたって使われています。
以上、「真部コード(1)」というモチーフを紹介しました。
このコード進行は、真部楽曲以外で使われているのを聴いたことがありません。
一生で一回くらいは偶然使うかな……という印象のコード進行だったのに
これだけ多用されると、謎の説得力を感じます。
※ちょっと余談ですが、
独自のパターンを意識的に連発する、というタイプの作曲者はそれほど多くありません。
僕が好きな方だと、沖井礼二さん(ex. Cymbals)が該当するかと思います。
実は、こういう方々を一発で見抜く方法があります。
「沖井節」「沖井サウンド」「沖井コード」「沖井ワールド」
みたいな言われ方をされているかどうか。
もし該当すれば、真部さんと同じくモチーフや方法論が確立されている証拠です。
すぎやまこういちさん(→すぎやま節)とか。
3. モチーフ作曲法の特徴
今回取り上げた例から、
真部さんのモチーフ作曲法の特徴を、下記のように捉えます。
1.モチーフの豊富さ
とにかく、いろんなモチーフがあります。真部ギターとか、真部コーラスとか……。
既に使われているけれど、いまだ知られざるモチーフも数多く存在します。
今回の真部コード(1)のように。
モチーフの多様さがあればこそ、モチーフを使いまわしても決して単調にならず、
曲構成にバリエーションを持たせることができます。
2.モチーフの簡易さ
モチーフのなかに、難しいコードやメロディー、リズムは用いられません。
簡潔で、だれでも理解できる・使いこなせるような構成を持ちます。
ひとつひとつは簡単でも、組み合わせ方や並べ方を工夫することで
独特な響きをつくっています。今回の4 3 2 3 6のように。
だから、誰にとっても普遍的に受け入れられます。
3.モチーフのヘビーローテーション
考案されたモチーフは、必ず複数の曲にわたって転用されてゆきます。
真部コード(1)は 8曲で使用されていました。
アルバムを通しで聴くと、知らず知らずのうちに耳に馴染んでゆき、
そのモチーフは、作者の代名詞(=真部節)となっていきます。
サブリミナル的に。
彼の考える作曲、面白いですよね。
手塚治虫のスターシステムのような。
彼は曲を作っている以上に、曲の作り方を作っているといえます。
4. 作曲例
真部脩一のモチーフ作曲法がいかに強力か、間接的な証拠をみてみます。
■伊藤万理華 - まりっか
作曲者は真部さんではなく、福島節さんという方です。
真部サウンドに聴こえますよね。イイ感じに。
こちらの曲を、
例えば記事冒頭に紹介した3つのモチーフと照らしあわせてみると
① 全編 IIm IIIm VIm の田中真部コード進行
② ペンタトニックスケールのメロディー
③ イントロ付き歌詞 「ままま まいごのわたし」「ままま まずは深呼吸」3種類とも使われています。(さらに言葉遊びや、ボーカル音程ゆるゆるも)
ここから分かることは、
以上のモチーフの組み合わせは、
他者がアクセスしても効果を発揮するほどの普遍性を持っている、ということです。
これだけシンプルなルールで、相対性理論サウンドが想起される。
凄い方法論です。
マルを三つ書いたらミッキーマウスに見える、
みたいな強さを感じます。
言い過ぎた。
5. 参考資料
真部脩一のモチーフ作曲法と、真部コード(1)を紹介しました。
てきとうな造語なので、あんまり気にしないでいただけると幸いです。
これらを踏まえた上で、Vampilliaのインタビュー記事を見てみると、
より理解が深まるかもしれません。
■Vampillia(リーダー、真部脩一)×world's end girlfriend
http://www.cinra.net/interview/201404-vampillia
”まったく新しいルールを作る、ゲームを作るっていう、その感覚がすごくポップだと思うんです。Vampilliaもそういう新しいものを作ることができると思うので、そのチャレンジはしてますね。”*
その他、以前に書いた記事です。
好みなので、いろいろ書いています。
new
■集団行動の1stアルバム『集団行動』を聴こう
→真部さん西浦さんの新バンド
■新しいポップスの形。集団行動2ndアルバム『充分未来』
→2ndアルバムの感想はこちらです。(褒めました)
■真部脩一(ex.相対性理論) のペンタトニックスケールを解析してみよう
■相対性理論+タルトタタン(真部脩一)のマッシュアップ
→真部メロディーを混ぜてみました。
■ハナエ・真部脩一の「上京証拠」をみつけよう
■相対性理論「TOWN AGE」でどこが変わったか
■相対性理論の音楽から、シンプルなアレンジを学ぼう
■真部脩一/Vampillia のアルバム「the divine move」 を聴いて。
とても興味深く読ませて頂きました!
返信削除相対性理論が大好きで、やくしまるさんと真部さんの活動を追っていたので刺激を受けました。
こんにちはTeruさん。お読みいただきありがとうございます。
返信削除相対性理論の方法はいつ聴いても惚れぼれしますよね。