ポップス好きが楽しめそうなクラシック作曲家の作品を並べてみます。
僕の好みで、定番っぽい選定です。
個人的にはフランスの作曲家が好きです。
テンションコード主体の甘い音楽。
現代のポップスと共通する要素が多いため、コードの勉強に良いと思います。
まずは、ラヴェルかドビュッシーのどちらかをどうぞ。
目次
1. モーリス・ラヴェル
2. クロード・ドビュッシー
3. フランシス・プーランク
4. バルトーク・ベーラ
5. オリヴィエ・メシアン
以下続きます。
↓
■モーリス・ラヴェル (フランス)
ラヴェルは、音楽史に残る発明はそれほど多くなさそうですが
曲の出来が異常に凄い、という理由で歴史に残った方です。
『クープランの墓』
最適化されたプログラムのように淡々と和音を移行していきます。
この整理整頓された感じはラヴェルの音楽でしか味わえない。
かっこいいなー。心底敬愛しています。
僕の生涯ベスト1の音楽。
こんな作品が作れたら死んでもいいです。
(作れないから死ねません)
0:56- 1.プレリュード。時計のような正確さ。
4:17- 2.フォルラーヌ。美しく妖しい和音。
10:08- 3.メヌエット。端正で素朴なメロディー。
15:21- 4.リゴードン。弾むリズム。
オーケストラ版は4曲構成、ピアノ版は6曲構成です。
全部好き。
『水の戯れ』
ラヴェルの職人っぷりをみるため、ピアノロール動画をみてみます。
図形っぽくてきれいな音符配置! 清潔!
ラヴェルはその精密さから、ストラヴィンスキーに「スイスの時計職人」とか
言われたそうです。この動画をみているとその理由も分かる気がしますね。
言われたそうです。この動画をみているとその理由も分かる気がしますね。
彼のピアノロールが綺麗な理由のひとつに、和音の平行移動の多用があります。
和音の形を変えずに、高さだけ平行移動させている。
同じ形が連続して表れるため、視感でも聴感でもきれいに整頓されて聴こえます。
『弦楽四重奏曲 第一楽章』
どんな耳があればこんな曲が書けるんだろう。
端正できれいです。
ラヴェル好きです。
■クロード・ドビュッシー (フランス)
ラヴェルよりちょっとだけ先輩のドビュッシー。
「全音音階」など、音楽の歴史を揺るがす発明をした偉大な人。
ラヴェルと同じ和音を使うので、聴いた感じは似てます。
ただし作風は真逆で、「掴みどころのなさ」が魅力です。
旋律の美しさや官能性で比べれば、ドビュッシーに軍配が上がる。
『小組曲 3.メヌエット』
0:35- 現代ポップスに通じるような、甘い甘いメロディーです。
1:40- 単純なツーファイブもドビュッシーにかかればこんなに美しい。
『グラドゥス・アド・パルナッスム博士』(『子供の領分』 より)
先ほどのラヴェルと和音は似ていますが、配置美よりも旋律の美しさが光ります。
次々に耳に残るフレーズがあらわれて消えてゆく感じ。
『海』
ドビュッシーがどれくらい掴み所がないか、傑作『海』を聴いてみます。
長いし、訳わからんですが、部分部分のときめく和音が耳に残ります。
「構成を持たない」という構成をあえて取り入れているとわかり、好きになりました。
はっきりとした形態を持たず、時間とともに移りゆくのは、自然や生き物の摂理です。
なるほど、この曖昧さも理にかなっているのです。
ラヴェルとドビュッシー、まさに似て非なるものです。
僕は人工的なラヴェルが好み。
■フランシス・プーランク (フランス)
上記のふたりに比べ知名度こそ落ちますが、ファンは多いです。僕もです。
時にはモーツァルトと並び称されるくらいの、天才メロディーメーカー。
彼は、現代のポップス作家と同じ耳を持っています。21世紀でも通じる。
『城への招待』より
一聴すればわかりますが、プーランクのメロディーって最高です!
まさにメロディーメーカー。説明抜きで楽しめます。
毎日BGMにするなら、断然プーランクです。偏愛しています。
『六重奏曲』
プーランクのもうひとつの魅力として、乱暴な不協和音があります。
甘々なメロディーの節々に、皮肉の効いた変な和音をぶっつける。
あくまでも心地よく。
2:20から始まる、不協なのにびっくりするくらい美しい旋律は必聴。
『ピアノ協奏曲 第一楽章』
プーランクのコード感・エンターテイナー気質が色濃く出ている一曲。
このかっこいい連続転調! わーってなります。
このかっこいい連続転調! わーってなります。
2:22からの、プーランクっぽいメロディーもたまりません。
プーランクは、長い曲を構成するのが苦手です。
とにかく甘々なメロディーを思いつくままにズラッと勢揃いさせた感じ。
そこが欠点でもあり、かけがえない魅力です。
**
ここから先は、
ポップスから少し外れて、一歩先ゆく響きをもった音楽です。
特異な和音を持っているので、聴いていると視野がひろがるかも。
■バルトーク・ベーラ (ハンガリー)
対位法/旋法を駆使して、異国情緒溢れるかっこいい曲を書いた人。
『弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽 第四楽章』
メロディーにはリディア旋法という技法が使われています。勇敢な雰囲気。
また、幾つもの独立したメロディーが重なったりハモったりする、
見事な対位法が用いられています。
『ルーマニア民俗舞曲』
彼は生涯をかけて民俗音楽の研究をし、自らの旋律法を確立していきました。
異国感あふれる独特な音で、冒険心がくすぐられます。
■イーゴリ・ストラヴィンスキー (ロシア)
手を変え品を変え、天才的な響きを作った人。
『ペトルーシュカ』
この曲を聴いてしまうと、普段耳にする音楽は実は単調で平面的だった、
と気付かされてしまいます。
7:00- からの跳ねる音の感じ、ぜひ聴いてみてください。
調性音楽で出来ることはいくらでもあるんだなあ。
『春の祭典』より抜粋
初めて聴いた時は耳が一回転するくらいびっくりしました。
すごすぎて笑えます。
このリズム、どうやって指揮するんでしょうか。
■オリヴィエ・メシアン(フランス)
ドビュッシー・ラヴェルの後輩。
独自の理論に基づいて調性音楽のギリギリを攻めた、ラスボス的存在。
『トゥーランガリラ交響曲 5.星たちの血の喜悦』
美しいメロディーからはじまり、ところどころ調性が危うくなっていきます。
知っている世界が崩壊する感じ。鳥肌が立ちます。
危ないのに、この圧倒的なキラキラ感。
途中、宇宙っぽい音(=オンド・マルトノ)も出てきて耳がパニックになります。『おお聖餐よ O Sacrum Convivium』
美しい美しいコーラス。たった4声でこんな音が作れるなんて。
メシアンはキリスト教の人なので、作品に静謐で聖なる雰囲気が漂っています。
メシアンの音楽はほとんど無調なので、他の作曲家に比べ音は難解になりますが
彼の研究者然とした作曲姿勢を知ると、
もっと理解できるようにようになりたいなあ、と思わされます。
彼の研究者然とした作曲姿勢を知ると、
もっと理解できるようにようになりたいなあ、と思わされます。
水の戯れの作曲者がラヴェルと知ってから、このHPにたどり着き、クープランの墓という名曲に出会えました。ありがとう!
返信削除CDも探しましたが、ここで紹介されている動画の演奏が一番良いですね。
こんにちはカエルの子さん。お読みいただきありがとうございます。
返信削除クープランの墓は、僕もいちばん好きな曲です。小さくて軽くて、美しい曲ですよね。
この演奏、オーボエがとてもとても良くて……。惚れ惚れしてしまいます。