IA/02 -COLOR- 買ってみました。
***
やっぱり褒めたい真部さんの「身代わりキボンヌ」。
感想です。
■歌詞
真部脩一の言語感覚が光る。
出てくるはずのない言葉がたびたび顔をだし、いかにも普通らしく振舞っている。
「丘を越えて駆ける馬車の飾りつきの洒落た窓に映る時間」ってなんなんだ。
歌詞を最後まで追えば、「身代わりキボンヌ」という妙なタイトルの
意外なバランス感覚が浮かび上がる仕組みになっている。
本当かな。
■コード
コード進行は極めて平易なのだけれど、
それをボディーブローのように繰り返されると、最後には決壊させられてしまう。
タルトタタン「恋するカレンダー」でも用いられた、
長めのブレイクで区切ってからの転調、というテクニックが使われている。
■転調構造
サビ0 (前奏) :Fm
↓
Aメロ/Bメロ :Fm
↓
サビ1 :Dm
↓
間奏/Aメロ/Bメロ:Fm
↓
サビ2 :Dm
↓
サビ3 :Fm
二つの調を短三度転調で行ったり来たりする構成になっている。
サビ1, 2はDm調だが、
ラストのサビ3だけが短三度上転調によりFm調になる。
そしてサビ3は、冒頭のサビ0(前奏)と同じ調・同じフレーズに回帰している。
つまり、楽曲の最初と最後が繋がっていて、
冒頭のサビ0がサビ3への遠い伏線として働いている。とてもカッコいい。
■編曲
赤い公園の歌川菜穂さんがドラムで参加されている。
ぎっしり詰まった打音と、タイミングの微小なずれ・うねりが、
へんてこで気持ちいいグルーヴを生んでいる。
赤い公園の特異な演奏/編曲センスが入ると鬼に金棒だなあと感じる。
■発声
真部さんの楽曲は、歌詞と、声質が命だということを再認識した。
滑舌の悪さを選んでまで、ボーカロイドを用いる必要は薄いかもしれない。
調声のずきおさんはそのなかでも健闘されていると思う。
欲を言えば、ピッチを外してヘタウマに歌えるとさらに良くなりそうだ。
***
M3.「身代わりキボンヌ」と、
M4 風味堂「未確認飛行物体な少女 feat.IA」の2曲だけで
もう買った甲斐があったなあと思いました。
偏食なんです。
やはりというか、専業作家のお歴々の作曲はいずれも丁寧で、
これだったらボーカロイド関係なく聴ける、と思う作品ばかりでした。
企画担当の方、偉い。
0 件のコメント:
コメントを投稿